UGCが生まれるSNSキャンペーン成功事例10選|拡散を狙う仕掛けとは?

UGCを戦略的に生み出すSNSキャンペーン事例を10選紹介。共感・体験・拡散を促す3つの仕掛けを構造化して解説します。

目次

なぜ今、UGCキャンペーンが注目されているのか?

広告ではなく「共感」が動く時代へ

SNSを活用したキャンペーンが飽和する中、単なる「プレゼント企画」や「リポスト施策」ではユーザーの心を動かしにくくなってきています。そんな中、マーケティング施策として注目を集めているのが「UGC(User Generated Content)」です。

UGCとは、ユーザー自身が自発的に投稿・発信するコンテンツのこと。企業が発信する広告とは異なり、ユーザーによる体験談や感想、写真投稿などは、同じ目線を持つ他のユーザーに強く共感される特性があります。

SNS上での共感・拡散の源泉が「企業の発信」から「個人の発信」にシフトする中、UGCを戦略的に生み出すSNSキャンペーン設計が不可欠になってきているのです。

UGCの拡散力・信頼性・資産価値

UGCは単なる投稿ではありません。マーケティング資産として、以下のようなメリットを持ちます。

  • 共感による拡散性:企業の投稿よりもユーザー投稿の方がリポストや保存されやすく、波及効果が大きい。
  • 口コミ的な信頼性:同じ立場のユーザーによる声は、広告よりも信頼されやすい。
  • 再活用できる素材資産:LP・広告・店頭プロモーションなどへの二次活用が可能。

こうした特性を活かし、SNSキャンペーンにUGCを組み込むことで、単発的な盛り上がりだけでなく、継続的なファン形成や売上への波及も期待できます。

仕掛け①:「共感ストーリー」でUGCを誘発する

UGCを生むためには、「何を投稿してもらうか」だけではなく、「なぜ投稿したくなるのか」の設計が重要です。仕掛け①では、ユーザーが自分の物語として共感できるストーリーを提示し、「参加したくなる感情」を引き出す手法に注目します。

ロッテ「#CLMD2024」|映画視聴後に感想を投稿するUGCキャンペーン

ロッテは『MARINES DOCUMENTARY 2024 自分たちを超えてゆく。』の公開にあわせて、X(旧Twitter)上で映画の感想投稿キャンペーンを実施しました。共通ハッシュタグ「#CLMD2024」を用いたUGCを促進し、抽選で選手直筆フォトブックが当たるインセンティブ設計が特徴です。

✅ 仕掛けのポイント

  • 映画鑑賞直後の高まった感情を活かし、そのまま投稿へ誘導する導線設計
  • 「#CLMD2024」という一体感のある共通タグで、感想の集約と可視化を実現
  • 賞品に選手の直筆メッセージを設定し、ファン心理に深く刺さる設計に

本キャンペーンでは、感動体験の直後に投稿を促すことで、熱量の高いUGCを大量に創出。「ファンの想い」をコンテンツ化する導線設計が、ブランドコミュニケーションとしても機能した好事例です。

観音寺市「#かんおんじふぉと」|地域住民が発信するローカルUGC

香川県観音寺市では、Instagram上で市の魅力的な風景や文化を投稿してもらうUGCキャンペーン「#かんおんじふぉと」を展開。自治体公式アカウントが投稿をリポストする形で、地域住民の目線を活かしたコンテンツ発信を行っています。

✅ 仕掛けのポイント

  • 撮影日や撮影場所の指定により、地域に根ざした投稿が集まりやすい設計
  • 観光目線ではなく「生活者目線」のUGCを促進し、共感とリアリティを強化
  • 選定された投稿は自治体公式がリポスト、投稿者にとっての承認体験にもつながる

本キャンペーンは、投稿のハードルを下げつつも、市の魅力を多角的に伝える工夫が凝らされており、自治体によるUGC活用の好例です。地域の人々の「日常」がコンテンツ化されることで、外部からの共感・関心も呼び込みやすい構造となっています。

仕掛け②:「体験・感情をシェアさせるコンテンツ」設計

UGCを生み出すもう一つの強力な仕掛けは、「体験直後の感情」をそのままSNS上でアウトプットさせる設計です。ユーザーに「投稿したい」と思わせるには、感動・発見・共感などの感情を引き出す体験そのものが重要です。

ENHYPEN「#ENHYPENMUSEUM2024」|展示体験を起点に生まれるUGC

▶キャンペーン詳細はこちら

ENHYPEN MUSEUM 2024では、会場内フォトスポットで撮影した写真をInstagramに投稿するハッシュタグキャンペーンを実施。来場体験と連動した設計で、ファンの「推し活」熱量を可視化するUGCが生まれました。

✅ 仕掛けのポイント

  • 会場内での撮影+投稿という導線により、体験直後の熱量をUGC化
  • 「#ENHYPENMUSEUM2024」「#ENHYPENMUSEUM2024_私のサジン」など複数ハッシュタグで投稿の幅を拡張
  • 非売品グッズが抽選でもらえるインセンティブ設計により、投稿意欲を最大化

本キャンペーンは、ファンの「行った記念を残したい」「見てほしい」という欲求をうまく活かした構造設計。体験と拡散が地続きでつながる導線が整っており、展示会やイベントにおけるUGC創出施策として非常に再現性の高い成功事例です。

横浜観光協会「#横浜バラ色」|市民と観光客が共に作る“バラの街”UGC

横浜市観光協会は、「横浜バラの名所特集2025」公開を記念して、Instagram上で横浜市内のバラ写真を募集するUGCキャンペーンを実施。ハッシュタグ「#横浜バラ色」の投稿の中から、優れた写真を公式アカウントでリポスト紹介しています。

✅ 仕掛けのポイント

  • 季節・エリア・テーマが明確な「バラの名所」投稿で参加ハードルが低い
  • 市民の目線で切り取られた横浜というリアルな視点がUGCとして集まる構造
  • 観光資源とSNS投稿が連動し、地域ブランディング・観光促進に貢献

このキャンペーンは、観光協会自らが「UGCを発信素材として活用する」構えを見せており、行政・自治体が主導するInstagram施策としても優れたモデルケースです。投稿者にとっても、写真が「選ばれて紹介される」という満足感が動機となり、投稿が自然と広がる好循環が生まれています。

猫カフェMOCHA「#猫カフェmocha」「#mochaフォト」|癒しの体験をシェアするフォトUGC

全国展開する猫カフェMOCHAは、来店体験をきっかけにInstagramでの写真投稿を促すフォトキャンペーンを開催。店内で撮影した猫たちの写真を、指定ハッシュタグとともに投稿することで、無料招待券やオリジナルグッズが当たるUGCキャンペーンです。

✅ 仕掛けのポイント

  • 「癒しの空間×撮影自由」という体験設計が、自然な写真投稿を誘発
  • 「#猫カフェmocha」「#mochaフォト」など統一タグによって投稿が蓄積・拡散
  • 抽選特典により投稿意欲を高めつつ、参加ハードルは低く設定

本キャンペーンは、猫と触れ合う豊かな時間を“記録”から“共有”へと導く導線設計が特徴。投稿は単なるプレゼント応募ではなく、「この癒し体験をシェアしたい」という自然な感情から生まれており、ブランド体験の拡張と認知獲得を両立した好事例です。

名古屋港「#名古屋港インスタキャンペーン2024」|誰かに見せたくなる風景がUGCに

名古屋港では、Instagram上で「誰かに見せたい名古屋港の風景」を募集するUGCキャンペーンを展開。投稿者の視点で切り取られた写真を通じて、名古屋港の魅力を再発見・発信する取り組みです。ハッシュタグ投稿者の中から、22名に名古屋港水族館のペアチケットをプレゼント。

✅ 仕掛けのポイント

  • 投稿テーマが「見せたい風景」であるため、日常の中から自然にUGCが生まれやすい
  • 22名当選という具体性のあるインセンティブが、参加の後押しに
  • ハッシュタグとフォローのみで参加できる、シンプルな導線設計

本キャンペーンは、参加者に「映える写真」や「想い出を残す写真」を促しつつ、それを名古屋港のPRにもつなげる二重構造が特徴。SNSを通じて地域資源を“共に発信する”姿勢が、共創型UGCの好事例といえます。

仕掛け③:「投稿ハードルの低さ×動機付け」で自然な参加を促す

共感や感動だけでなく、「誰でも簡単に参加できる」「投稿する理由がある」という設計もUGCを生む鍵です。ここでは、投稿のしやすさとインセンティブのバランスが取れた事例を紹介します。

天下一品「#こってりおみくじ」|体験に“運試し”を掛け合わせた参加型UGC

ラーメンチェーンの天下一品は、新年限定で提供するデザート「こってり杏仁」の“おみくじパッケージ”化にあわせて、「#こってりおみくじキャンペーン」をX(旧Twitter)上で実施。店頭体験とSNS投稿が連動した、エンタメ性のあるUGCが多数生まれました。

✅ 仕掛けのポイント

  • 「大吉」出現という運試し要素で、写真投稿の動機づけを自然に設計
  • 投稿条件を「大吉写真+ハッシュタグ」のみに絞り、参加ハードルを大幅に低減
  • 賞品に「こってり杏仁」「唐揚げ」など自社らしさ満載の詰め合わせを用意し、話題性も創出

本キャンペーンは、来店体験を撮影したくなる仕掛けに変換し、商品とのエンゲージメントを高める好例です。ユーモアと参加感を掛け合わせた構造が、多くのUGCを生み出しながらブランドの世界観を強く印象づけています。

Samsung「#GalaxyAIコンテスト」|AI機能を活用した次世代フォトUGC

Samsung Japanは、GalaxyスマートフォンのAI機能を活用して写真・動画を投稿するSNSキャンペーン「#GalaxyAIコンテスト」を実施。Instagram上では、指定ハッシュタグとアカウントメンションを通じてUGCを募集し、優秀作品には最新機種「Galaxy Z Flip6」をプレゼントする注目の施策です。

✅ 仕掛けのポイント

  • AI編集・スローモーション・ズームなど“使ってみたくなる機能”をフックに投稿を促進
  • 「夏の思い出」「月」「○○の秋」など柔軟で親しみやすい撮影テーマを設定
  • フォロー&タグ付けだけで応募可能な設計で、参加の心理的ハードルが低い

本キャンペーンは、プロモーション対象であるGalaxy AIの体験をそのまま投稿コンテンツに昇華させることで、製品訴求とSNS拡散を両立。機能性をユーザー自身が魅力的に表現する構造により、広告感のないUGCが自然と広がる、テック系SNS施策の好例です。

auスマートパスプレミアム「#衝撃の経過年数選手権」|“共感あるある”を語り合うエモUGC

KDDIは、音楽・マンガ・映像作品にまつわる“時の流れ”をテーマにしたポッドキャスト番組の配信を記念して、X上での投稿キャンペーン「#衝撃の経過年数選手権」を開催。思い出やエピソードをシェアしてもらうことで、懐かしさや驚きを軸としたUGCが生まれました。

✅ 仕掛けのポイント

  • 「ちょっと前だと思ってたのに…」という共通体験を投稿テーマに設定
  • 投稿されたエピソードは番組内で紹介、コンテンツとの双方向設計
  • 人気声優・青山吉能さんのサイン色紙が当たるプレゼント施策で参加を後押し

本キャンペーンは、投稿そのものが番組構成に組み込まれることで、ファンと番組との接点が強化され、UGCがただの応募ではなく番組参加に変わる仕掛けとなっています。共感をベースとした話題性とエンタメ性を両立した好事例です。

T&D保険グループ「#tanddフォトコンテスト2024」|しあわせの瞬間を集める共感UGC

T&D保険グループと東京カメラ部は、「写そう この瞬間、紡ごう このしあわせ」をテーマにフォトコンテストを開催。X(旧Twitter)やInstagramに投稿された写真の中から各賞を選出し、参加者の視点で切り取られた“幸せの瞬間”が多数シェアされるUGCキャンペーンとなりました。

✅ 仕掛けのポイント

  • 「Try」「Discover」「ワクワク」の3部門構成で多様な参加を後押し
  • 撮影機材不問かつスマホ撮影にも特別賞を設け、UGCの裾野を広げる設計
  • 賞品にJCBギフトカードやAmazonギフトカードなど、動機づけの強い特典を設定

本キャンペーンは、SNSに蓄積される投稿のすべてが「しあわせ」というテーマに紐づく設計。日常の中の価値ある瞬間をUGC化することで、企業メッセージと参加者の感情が自然に重なる構造が生まれています。写真投稿による“共感”が波及するUGC施策として、企業ブランディングにも好影響を与える成功事例です。

UGCキャンペーン設計で押さえるべき5つの視点

ここまでの事例から、UGCを生むSNSキャンペーンに必要な設計視点を以下に整理します。

① 誰に投稿してもらいたいか(ターゲット設計)

投稿者を「ファン」「参加者」「地域住民」など明確に定義することで、伝えるメッセージや投稿内容も自然と定まります。

② 何を投稿させるか(投稿内容の明確化)

写真なのか、感想なのか、動画なのか。テーマを自由にしすぎると投稿ハードルが上がるため、「何を投稿すればよいか」が直感的にわかる設計が鍵です。

③ なぜ投稿したくなるのか(感情 or 報酬の仕掛け)

人は「感動した」「見せたい」「当てたい」などの理由で投稿します。体験価値と報酬設計を組み合わせて投稿意欲を刺激する必要があります。

④ 拡散される理由があるか(共感・視認性・再利用性)

投稿が広がるかどうかは、他人が「共感できる」「真似しやすい」「シェアしたくなる」かにかかっています。ハッシュタグ設計や視覚的な統一感もポイントです。

⑤ 投稿後の活用設計ができているか(再掲・サイト掲載など)

UGCは「生まれたら終わり」ではなく、「活用してファン化・資産化」することが重要です。投稿者の満足度を高める意味でも、活用動線は設計すべきです。

【まとめ】UGCは偶然ではなく、設計された仕掛けで生まれる

UGCは「ユーザー任せ」のものではありません。どんな体験を、誰に、なぜ投稿させるのか。そこに戦略的な仕掛けがあるかどうかで、結果は大きく変わります。

本記事で紹介したように、「共感」「体験」「投稿のしやすさ」という3つの仕掛けを意図的に設計することで、企業側が狙ってUGCを創出することが可能です。

今後、SNSキャンペーンを設計・提案・実行する立場にある方は、「話題化」ではなく「共創」こそが、長く愛されるブランドコミュニケーションの起点になることを意識してみてください。

バナー1 バナー2
PAGE TOP